フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「……そうか」
私の話を黙って聞いていた真宮さんが、ぽつりとこぼした。
ポン、と頭に重みを感じてふとうつむいた顔を上げれば、真宮さんがこちらへ体を向けて私の頭に手を載せてる。
「アンタも辛い時代があったが…………あの親友が救ってくれたんだな」
ゆっくり、ゆっくりと。彼の手が私の頭を撫でてくれる。それだけでゆるゆるとほどけていくものがあって。
真宮さんが頬笑み、こう言ってくれてさらに泣きそうになった。
「アンタの友達は最高のやつだったな……馬鹿にして蔑んで悪かった」
そう、謝罪してくれて。ぽろぽろと涙が溢れてくる。
泣き顔なんて、ひどい事になるから見せたくないのに。
それに、ここは深夜の診察室。真宮さんの治療が終わってないのに。先生方も終われない。早く止めないと……
「ご、ごめんなさい。今、止めますから……」
ハンカチやティッシュを出す余裕もなくて、慌てて手のひらで拭ってると。
真宮さんの手のひらがなぜか私の後ろ頭に回って、グイッと引き寄せられる。そのまま勢いよく倒れた先は、暖かくて少しかたい感触。
(えっ)
いつの間にか、真宮さんの胸の中に飛び込む体勢に顔が熱くなる。
「これなら、汚れてもいい。泣きたいなら、思いっきり泣け」
そう言った彼は、私を片手で息苦しいほど抱きしめてきた。