フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
なぜ、だろう。
真宮さんの腕のなかはドキドキもするけれど、とても安心して体を委ねられた。
広い空の中で、大きな鳥の力強い翼に包まれるような。
思えば、私とプライベートでかかわりあってきた男性と言えば、大学生の時にお互いウブでキスで終わっただけのカレシと。3年間利用されてきた和彦だけだった。
だからかな?
こうして、ちょっと男性に優しくしてもらえただけで。ときめいてしまうのは。
きっと、真宮さんには普通のこと。勘違いしちゃいけないのに……ドキドキが止まらない。
(いけない……彼は偽の恋人……婚約者。だから、好きになっちゃいけない)
そう、必死に自分に言い聞かせた。
危険な兆候は、和彦の時と同じだ。
もう2度と、あんなつらい恋はしたくない。
絶望的な、報われない想いは……。
そもそも、真宮さんが私に告げた言葉を忘れる訳にはいかない。
“アンタがオレを好きじゃないから。オレもアンタを好きにならない”って。あれだけきっぱり言われておいて。これだけ優しいなら、見込みがある?なんて考えるほどおめでたい頭はしてないつもりだ。
あの時、彼は悲しいような傷ついたような。とても複雑な顔をした。
もしかしたら、本当は好きな人がいて……なのに、その恋が実ることはなくて。身代わりとか何かで探したかったのかもしれない。