フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


「へぇ、今度紹介してくれるんだ。楽しみ~」
「う、うん。彼は恥ずかしがりやさんだから……今まで紹介できなくてごめんね」

翌日。朝に真宮さんが“今度友達とアッパラパ~に会わせろ”と言ってきたから、アッパラパ~って誰?って訊いたら。“アンタを何年も心身ともに磨り減らさせた、人として最低レベルのアホ男”と和彦のことをバッサリ斬り捨てた。


という訳で、同じ職場である香澄にようやく告げることができたけど。
親友に嘘をつかなきゃいけない心苦しさもあって……。

あんまり積極的に彼の話をする気にはなれなかった。

けど、恋ばなが公的に解禁(?)されたからか、やけに香澄は積極的で。お昼休みに社内のカフェで色々話すはめになってた。

しかも、和彦まで同席なんて……。

逃げたい、と思ったけど。逃げちゃいけない。香澄が不審に思わないように、あくまでさりげなく。自然に。

社内のカフェはオシャレで落ち着いた雰囲気。軽食メニューも充実しているからか、昼食を取りに来た別の会社の人も見かける。

私はパスタとサラダのセット、香澄はサンドイッチとスープ。和彦は遅れるらしく、ホッとしてしまった。

(まだ……気持ちの整理はできてないもの……仕方ないよね)

彼を好きだった3年……無駄ではなかったと思いたい。
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