フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
ぱちん、とほっぺたを小さな痛みが走る。
「空元気なんていらない!気分が悪いならちゃんと言いなさいって言ったでしょ!
ほら、出るよ。和彦、さくらとわたしの荷物持ってきて!」
香澄は私のほっぺたを両手で包んでもう一度軽く叩くと、和彦に命じてテキパキと帰り支度をする。
「香澄……いいよ。私は帰るから……せっかくのデート、楽しんで」
「なに言ってるの!さくらは二人といない大切な親友なんだから。変な遠慮しない。これくらいで怒る器のちっちゃな男なら、こっちからお断りよ。子どもは一人でも育てるわ」
そんな雄々しいことをキッパリいい放つ香澄は、きっと有言実行で後腐れなく和彦と別れそう。思わず笑みがこぼれた私に、香澄は「やっとほんとに笑ってくれたね」って微笑んでくれた
。
やっぱり……祝おう。
香澄の幸せを。
私の3年なんて大した重みはない。
恋人とも言えない関係をズルズル続けてきた私も悪かったんだ。
キッパリと……こんな厄介な気持ちとお別れしなくちゃ。