フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


せっかくのデートを邪魔してしまって悪いから、と強引に帰るふりをした。

ちょうど来たエレベーターに乗り込むと、何も考えずにボタンを押す。ドアが閉じる前ギリギリに駆け込んできた人がいて、ムッとしたけど抑えた。

(ひとりになりたかったのに……)

エレベーターなのに厚い絨毯が敷かれ、ぴかぴかに磨きこまれた室内。同乗者と顔を会わせたくなくて、不自然でも背中を向けて顔をうつむかせた。

なぜ……

どうして?

答えが出ない問いが、頭のなかをぐるぐると回る。
泣きたくなるのをグッとこらえ、下唇を微かに噛みしめる。


3年間付き合って、和彦から初めて外食に誘われた。
ジュエリーショップで和彦が一人で指輪を見ていたと、同僚が噂をしていて。まさかと期待に胸を膨らませて……新しいワンピを買って、精一杯のお洒落をした。
和彦には少しでも綺麗と思ってほしかったし、エリートの彼に相応しいようにと。

でも、結局何もかも私の一人相撲に過ぎなかったんだ……。

この3年間……私は一体何をしてきたんだろう……。

我慢しようと思ってたのに、目の奥がじんわりと熱くなってくる。ダメだ、と空いた手で口元を覆った。

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