フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「はじめまして、さくらさんの婚約者の真宮 玲と申します。アスフォーコミュニティの社長です」
真宮さんが自己紹介した途端、思ったより香澄が食いついたのがアプリという言葉。
「え、あのアスフォーコミュニティーの社長さんですか!?アプリ“コミュコミュ”の」
「はい。コミュコミュは代表的なアプリですね」
「お会いできて光栄です。アプリは毎日使わせていただいてますよ。ビジネスツールとしても優秀ですよね。セキュリティーがしっかりしているので安心です」
さすが、女性ながら営業部所属の香澄。落ち着いたやり取りで、真宮さんと対等に会話してる。
IT会社の謎の若き社長……普通ならもっとはしゃぎそうなものを、ビジネスライクな対応でいってる。
「それで、こちらがわたしの婚約者です」
「佐々木和彦と申します」
香澄が紹介してから軽く頭を下げた和彦は、なぜか一瞬真宮さんを睨み付けたように見えた。
「せっかく知り合えたんですもの、これからは仲良くしましょうね。
さ、お料理も来ましたし。いただきましょう」
やっぱり、香澄がテキパキと采配を振るう。いつもこのペースで巻き込まれながらも、私もどうにか人並みに過ごせてきたんだ。
香澄には感謝してもし足りないくらいだ。
でも……
香澄は和彦と結婚し、新しい家庭を作る妻と母親になる。
私とは別の道を歩くんだ。
だから、何かあれば今度は自分で決めて自分で責任を持たなきゃいけない。
香澄はもう助けてくれないから。
強く、ならなきゃ。