フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


(真宮さんもどう考えているんだろう? ここまで私の親と親しくなっちゃったら……偽の恋人だけど、別れるなんて知られたら。お父さんとお母さんをどれだけがっかりさせるかくらい、わかりそうなものなのに)

頭が良さそうな真宮さんなら、与えるダメージくらい簡単に予想できそうなのに。なぜ、わざわざこんな風に親に知らせたり、招待までしているの?

彼の意図がまったく解らない。

第一、こうして過ごしてる時だって本来は偽りであり得ない時間。未来が全くない人と思い出を作ったって、後で悲しく虚しくならないのかな?

「やっぱりすごいわね、歩いてる人はみんなセレブ!って感じで気後れしちゃうわ」

レジデンスでエレベーターに乗ったお母さんがため息を着いた。

「なんとか頑張ってみたけど、わたし浮いてない?」
「大丈夫。私よりよっぽどセンスいいから自信もってよ。お母さんはお洒落だよ。」

お母さんは45とは思えないくらい若々しい。高校生のバイト先のお店でお客だったお父さんと知りあい、卒業と同時に結婚して翌年には私が生まれたからな。

「それにしても、エレベーターに乗るのにもわざわざIDカードが必要なんて驚いたわ。やっぱりセキュリティーはしっかりしてるのね。その点は安心だわ」

「そうだね」

(ずっと暮らすわけじゃないんだ。ごめんね、お母さん……)

気まずさを誤魔化すように、曖昧に笑うしかなかった。

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