フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

「うん、ごめんね。ちょっと悩みがあっただけ。大したことじゃないから」
「そう?もしも辛いなら、いつでも話しなさいよ」
「うん、ありがとう」

この悩み事は相談できるはずない。契約で恋人役を演じてる。嘘をついてた、騙してたって、自ら告白するようなものだから。

「嫌なことを言うようだけど……」

お母さんが遠慮がちに、だけどしっかりとした口調で言ってきた。

「もしもここが辛くなったら、いつでも家に帰ってきてもいいんだからね」
「…………お母さん」

全部は口に出さないけど、お母さんも薄々感じてるのかもしれない。私と真宮さんの間にある微妙な空気を。

「お父さんも心配してたわ。ぼんやりしたあなたがセレブ生活をやっていけるか……って。
まあ、真宮さんにはものの見事に懐柔されたみたいだけど」
「……そうだね」

真宮さんとお父さんは意気投合してる。買い物してる最中にお父さんからお母さんのスマホに着信があって、ワインやビールをリクエストされてた。

「どうやら今夜は夜明かしになりそうよ。ツマミも欲しいって言ってたわ」
「え~!お父さんが?珍しいね」

いつも仕事で朝早く夜遅いお父さんは、仕事に障るとめったにお酒を口にしなかった。休みの前の日に晩酌を嗜む程度で、酔った事もないのに。


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