フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「そりゃ、私の方がかわいいでしょ。女の子だも~ん!」
私がふざけてからかうと、お父さんは「そういう意味じゃないだろ」と怒るふりをした。
「そんな事を言うなら、うちに10万ほど仕送りしてもらおうか?家のローンもキツくてな」
「ひえ~それは無理!お父様~」
「今さら機嫌とろうとしてもムダだぞ」
お父さんに抱きついて懇願しても突き放された……けど。口元がピクピクひきつってて、顔が笑ってるのが丸わかりだよ、お父さん。
そんなアホなやり取りをする家族を見て、真宮さんがぽつりと呟いた。
「……いいな、家族の触れ合いって」
「え、そうなんですか?」
私にとっては日常茶飯事の当たり前なやり取りだから、羨ましがられる感覚がよくわからなかった。
「アンタには当たり前かもしれないけど、ね」
前髪をぐしゃりとかき上げた真宮さんは、どこか寂しそうで。ズキンと胸が痛んだ。
「オレの母は日本に来てから、シングルマザーとして頑張って育ててくれた。
ろくに働いた経験のないお嬢様が、バイトをいくつも掛け持ちして、朝早くから夜遅くまで……。
乳母(ナニィ)も手伝ってくれたが、母に付き合った彼女も、働かねばならなかったからな。
歳上の小椋は学校に行ってたし、言葉がわからないオレはずっと家にひとりでいたんだ」