フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「まあ、まあ!それはご苦労されたのね……」
涙もろいお母さんが、真宮さんの話を聞いて目頭を押さえた。
「なら、こんなもので良ければどんどん食べてくださいな。」
「ありがとうございます。いただきます」
お母さんに勧められ、真宮さんが箸を取る……前に。
「待ちなさい」
お父さんがそれを止めた。
「食事の挨拶はきちんとするんだ」
「真宮さん、こう手を合わせて……」
私が教えると、真宮さんは戸惑いながらも手を合わせてくれた。4人合わせたところで、お父さんが「いただきます」と先に言い、軽く頭を下げる。
『いただきます』
真宮さんが見よう見真似で挨拶するのを見て、何だか可愛く感じ小さく笑ったのは内緒。
「すまなかったね、強制してしまって。だが、さくらと結婚する以上、私は君を息子と思いあえて口出しさせてもらうよ」
お父さんがそんな事を言うから、肝が冷えるかと思った。
(お、お父さん!何を言ってるの?私と真宮さんが万一結婚したって、それはあくまで“結婚するふり”ですぐ別れるのに……真宮さんも否定してよ!)
私の必死の願いも虚しく、真宮さんは「ありがとうございます」とお礼を言った。
「お恥ずかしながら、私も知らないことが多いです。これからも遠慮なくご指摘ください」
「そうか、君は若いのになかなか謙虚でいいじゃないか」
お父さんは上機嫌で、さらに真宮さんを気に入ったみたいだった。