フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「別に、怒るつもりはない」
「!!」
唐突に真宮さんの声が後ろから聞こえて、驚いたなんてものじゃない。心臓が口から飛び出すかと思ったよ。
いえ、それ以上の衝撃的な出来事が私の身に起きた。
「ま、ままま……真宮さん」
「なに?」
「な、な……なぜ、後ろから、だ、抱きしめる必要が?」
しどろもどろに私がそう指摘すると、彼はあっさり言い放った。
「そんなの、オレが抱きしめたいからに決まってるだろ」
はい、出ました。唯我独尊な真宮さん。
私の肩越しに両手が伸びて、後ろからごく自然に抱き締められたけど。鼓動がおかしくなりそうだし、絶対顔が真っ赤になってる。
「そ……そんなのおかし……ひゃ」
い、今耳!耳にキスした!!
「何が? オレたち、夫婦になるんだろ? これくらい当たり前」
耳もとで低く囁かれて、もうおかしくなりそう。真宮さんのこういう時の声 ……低くかすれたようになって、すごく艶っぽいんだもの。
「我慢するなよ、全てオレが聞いてやる。アンタが言うことで、下らないことがあるはずない」
「……っ」
真宮さんがそのまま私の頭に自分の顔を触れさせ、髪にまで口づけたのを感じた。
まるで、軽く痺れたような幸福感がじわじわとそこから広がっていく。
真宮さんは……彼なりに真摯に対応してくれてる。なら、私も彼に真摯になろう。
そう思うのに、息苦しいほどギュッと抱き締められて。ドキドキして頭の中が真っ白になった。