フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
和彦からの連絡を待つために他人との連絡はおざなりになり、家で彼を待つために人付き合いが悪くなった。
狭い交遊範囲がさらに狭くなり、同僚の飲み会やプライベートイベントにも誘われなくなった。
でも、それでもよかった。
たとえひと言だろうと、スタンプのみだろうと。和彦からのラインが来ただけで私を気にかけてくれたとホッとしたし、ひと言でも声を聞けたら1日幸せで。
彼のためにご飯を作って待っていた毎日。まれに来てご飯を食べてくれたらもっと幸せ。
泊まって……しかも抱いてくれたら、死んでもいいくらい幸福だった。
都合がいい女だ……って薄々はわかってた。
私だって大学の時に彼がいたこともある。だから、これが普通の恋人でないってことくらい頭では理解してた。
でも……
ダメだった。
和彦が笑ってくれただけで……自分の何を犠牲にしてもいいって思えたんだもの。
こんな想いは、初めてだったんだ。
でも、結局は一方的な想い。
私は……和彦に、恋人とか言われたこともない。
好きだ、と言われたことさえ……
和彦と付き合ってたんじゃない……ただ単に、利用されてたんだ。
ガラス越しの綺麗すぎる夜景がぼんやり滲んでいく。
堪えきれなくなった熱いしずくが瞳からあふれ、次々と頬を伝わっていく。
誰もいない展望台に、私の小さな嗚咽がただ響いた。