フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
レイが、やっと反応を示してくれた……。
たったそれだけの事が嬉しくて、ガマンしてた涙がぽろりと流れる。
すると、堰を切ったようにポロポロと大粒の涙が溢れてしまい……それを止めようとハンカチで拭おうとすると。抱えるように顔を抱き寄せられた先は、レイの胸の中で。
「……泣くな」
ボソッと、レイが囁くように言う。
「アンタに泣かれると……どうしていいかわからなくなる」
「だって……レイが、冷たくて……わ、私……レイを嫌いじゃないのに。勝手にそう思わないで……!わ、私……レイを好きって……言ったのに……ちゃんと聞いてくれてない……」
しゃくりあげながらも、何とか彼に伝えようと必死で言葉を紡いだ。支離滅裂でめちゃくちゃだけど、どうか私だけでも好きだって知って欲しいって。
「……悪かった」
「わ、悪いと思うなら……ちゃんと話そうよ!わ、私……レイと思い出作りたい! どんなプレゼントよりも、美味しいご飯よりも、着飾って出掛ける贅沢よりも……レイと、普通でいいから。おしゃべりしたり……散歩したり。家でご飯食べたり。そんなことで、いいから。思い出作りたいの。
だって、私……本当の恋人じゃないもの。
いつか二度と関わらない他人になるの、わかってる。
だから、せめて……レイが私といる時間が少しでも楽しい思い出になって欲しい……」