フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


「ほら、謝りなさいよ」

香澄が隣の和彦の肩をつつくけど、彼はだんまりでこちらを睨み付けてる……正確には、レイとにらみ合いだ。

そんな態度に業を煮やした香澄が、遂にぶちギレた。

「謝れって言ってんでしょ!このタコ!!」

ガゴン!と見事な音が響いたのは、香澄が和彦の頭を押して無理に下げさせ、和彦の顔面がテーブルと衝突したからで。

(うわあ……痛そう)

それ“だけ”は、和彦に同情した。

そして、続けて香澄が頭を下げてきた。

「本当に、ごめんね。クリスマスイヴのこと……しかもこいつ、わたしのスマホ勝手に弄ってさくらの連絡先知ろうとするし。その場でスマホ叩き割って、用水路に棄ててやったから」

香澄なら本当にやりかねないどころか、本当だろうな。浮気なんかしたら骨折程度じゃ許してくれなさそうだ。友達ながら、なんか怖くなる……。
まあ、本当は優しい人だとわかってるからいいんだけど。

(やっぱり……香澄から知ろうとしたんだ……私の新しい連絡先)

和彦との失恋をきっかけに、電話番号もIDもメアドも変えて。彼の連絡先をブロックしたんだから。
もう連絡すらないと思ってたのに……なぜ、私に近づこうとしたんだろう? 棄てたのはそちらの癖に。

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