きみは微糖の毒を吐く






「──まあ、ドラマの時もお前のこと考えてキスしたけどね」






さらっと告げられた言葉に、しゃがみこんだまま目を丸くする。



「え、本当!?」

「さあね」




絢斗くんは私の顔を見ないまま立ち上がって、「早く立たねーと置いてくぞ」なんて言う。



だけど頬がちょっとだけ赤いの、見えちゃったよ。



本当なのか冗談なのか分からないけれど、今日はあんまり嬉しくて。




「絢斗くん、大好き~!」




ぎゅう、と後ろから抱き着いたら、面倒くさそうに「はいはい」なんて言われたけれど。


今日だけは私、絢斗くんとずっと一緒にいる未来を夢見てもいいかなぁ?




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