1日だけの恋~10月25日夜完結~
「くっ……」

吹き出すように笑った男。

「やっぱり、嘘なんですね」

からかわれたんだ。
そうだよね、彼の好きなタイプが私みたいな女の訳がない。棒切れみたいな貧相な体だし、顔も可愛くも綺麗でもなくて。性格だって決してよい方でもない。

「違うんだ。予想以上にきみの反応が可愛いからさ。ごめんね」

……嘘か誠か……判断不可能だ。

「きみが良ければ本当に僕の恋人になってくれてもいいんだけど」

はぃ?嘘でしょ!


「えぇっ!?それ本気ですか?」

「困ってる顔だね」

「はい、……困ってます」

こんなに私を翻弄して何が面白いんだろう。

「ごめん、いいんだ。とりあえず芝居でも」

「はぁ」

ホッとしたのもあるが、とても残念な気もした。

彼の恋人か。

願ってもないチャンスだし、本当になれたら最高に幸せだろうな。

まあ、おおかた冗談だとしてもいきな返しを言っておきたい。

「あの……考えておきます」

「え?」

「あなたの本当の恋人になる話です」

目を大きくした男。

「……」
全然粋な答えになってなかったと思う。

それなのに、彼は満足そうな笑顔をみせてくれた。

「いやぁ、考えていたよりもずっといいね、きみって」

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