1日だけの恋~10月25日夜完結~
角度が少しずつ変わり、口腔内に綿貫さんの舌が入り込み私の舌に絡みつく。
お互いの唾液が混じり合うほど、深く奥に綿貫さんを感じて、自然に体がほてり出す。
歯列の裏をなぞる綿貫さんの舌。
もう……
何も考えられなくなっていく。
……考えてもいなかった。
望んでいたことだけど、決行したその日にこんなに濃厚なキスまで出来るとは思ってもいなかった。
雑誌で見た綿貫さんを今日まで、沢山調べたし作戦を練った。
予定が速くまわりすぎ、うまくいきすぎて心配だ。
でも、うまくすれば今日、作戦は成功する。
これで私は報われる。
心も体も満たされれば、それで充分だ。この先何があっても生きていける。
泣きそうになるのを我慢していたら、少し震えてしまった。
キスをやめて綿貫さんが心配そうに私の顔を覗く。
「……平気?マリア」
綿貫さんが私の名前を呼んだ。
どうしても名前は間違いなく呼ばれたかった。
でも、どういう風に漢字で書く名前なのか、綿貫さんは知らない。
それでもかまわない。
そんな名前の女だったと、そんな名前の女を知っていたと、覚えておいてもらえたらいい。
私は、あなたが好き。