1日だけの恋~10月25日夜完結~
「でも、準備が」

いや、心の準備なら十分してきた。
それ以外の準備が不十分だ。

でも、チャンスはそうまわってこない。

「あははっ、なんの準備?部屋を見に来きたいだけ……なんだよね?」

意味深に笑われて我に返った。

「そ、そうですね」
スイートルームがみてみたいから行くだけ。

綿貫さんの笑顔は、私の心を見透かしてしまいそう。

今は、気づかないふりで通してもらいたい。はしたない女だと思われているだろうか。

でも、それでもかまわない。


私へ顔を向ける綿貫さん。
「でもさ、マリア。
部屋にきたら当然
みるだけじゃすまなくなるかも……」

光りを帯びた瞳に捕らわれそうになる。

それでも、少しでも私という女を印象付けたくて、わかっているのにわからないふりをする。

「……他になにか?」

じらして誘う。

落としたくなる女になれたらいいのに。

私の唇に綿貫さんは人差し指を当てた。

「……何もないよ。あるわけない。君は見たいだけだ。そうだろ?」

意味深な言葉をいい、笑みを浮かべる。
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