1日だけの恋~10月25日夜完結~


「おっと、そんなに焦らないで」

指にキスされたあと、ゆっくり手を離す綿貫さん。

「でも、綿貫さんは、お時間が限られてらっしゃるから」

「きみは、いつも時間ばかり気にするんだね」
くすっと笑われてしまった。

確かに、ホテルのラウンジでも時間を尋ねた。
今朝も時間を気にしたし、今も気にしている。

「でも」

「本当なら、きみにじっくり時間をかけたかったよ。これから仕事があるのが残念だなぁ」
間延びした綿貫さんの言い方が、私の心をくすぐる。

「仕方ないです。お仕事は大切ですから」

本当は、長く夢をみていたい。
綿貫さんとの時間は長いほうがいいにきまっていた。

「そうだね。でも、きみは、初めてだろ?こんなあわただしくていいのかなって」
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