バイバイ、ベリヒル 眠り姫を起こしに来た御曹司と駆け落ちしちゃいました
 と、そこへうまい具合にエレベーターが到着してくれた。

 扉が開いて、真顔に戻った社長がゲストを出迎える。

 山中先輩のアテンドで現れたゲストは三人だった。

 ニュースで見た大里選手と、青いシャツの欧米系男性、それに日本人女性だ。

 どうやらみなお互いに知り合いらしい。

「ようこそ、美咲さん、ミケーレさん。カプリでのクルージングは最高でしたね」と社長が手を差し伸べる。

「一年ぶりですね、徹也社長」と二人が握手を交わす。

 日本語が上手なミケーレ・ドナリエロさんはイタリア人の富豪で、美咲さんとは夫婦なのだそうだ。

 次に社長は大里選手と向かい合った。

「ニュースを聞いて驚きましたよ」

 握手を交わしながら大里選手が社長に頭を下げる。

「新羅社長、今日はマスコミ対応もお願いしてしまって、申し訳ありません」

「いいえ、どういたしまして。こちらもイベントのPRに便乗させてもらいますから」

 本気なのか分からないような微妙な冗談を言いながら、社長がラウンジの中へとゲストを案内する。

「ここならマスコミも入ってこられませんから、くつろげますよ。大里さんは、ヨーロッパからの長旅でお疲れじゃありませんか」

「いや、機内ではずっと寝てましたからね。時差ボケもありませんよ」

「さすが、鍛えてる方は違いますね」

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