バイバイ、ベリヒル 眠り姫を起こしに来た御曹司と駆け落ちしちゃいました
と、そこへルネサンスのお姫様が現れた。
床まで伸びた緋色の重厚なドレスにレースの肩掛けを羽織って黒い毛皮の帽子をかぶったイタリア人女性だった。
ちょっとこの会場には暑そうだけど、汗一つかいていない。
「なんだ、アマンダ、ここにいたのか」と、大里選手が笑っている。
「ハアイ、オオサトさん。どうですか?」
どうやら、さっき空港で大里選手に付き添っていたマネージャーの女性らしい。
「ああ、これは素晴らしいですね」と横から社長が声を上げた。「まるで絵画の中から抜け出してきたかのようだ」
「展覧会では他のスタッフにも着せるように指示を出しておきました」とエマヌエラさんも満足そうにうなずいている。「アマンダはこういう……コスプレが趣味ということで、今夜は先にお披露目することにいたしました」
みなが衣装を褒めていると、アマンダさんが山中先輩に向かってまっすぐ歩み寄っていった。
「アスカレードさんですよね?」
アスカレード?
顔を隠そうとする先輩を先回りして、アマンダさんがガッチリと手をつかむ。
「アスカレードさんにこんなところでお会いできるなんて夢みたいですね。ビッグサイトで拝見したマリカラのジュリちゃんは最高でした」
マリカラ?
ジュリちゃん?
先輩の目が泳いでいる。
「アマンダは亜莉沙のこと知ってるの?」と美咲さんが驚いた表情でたずねた。
「ええ、モチロンですよ。私がずっと憧れていたトップ・レイヤーさんです」
レイヤーって……コスプレする人のこと?
先輩にそんな趣味があったんだ。
全然知らなかった。
「私がこの趣味にはまったのも、ネットでアスカレードさんの写真を見たからなんですよ」
アマンダさんにガッチリと手を握られて逃げられないと観念したのか、先輩は「ど、どうも」とぎこちなく頭を下げた。
「亜莉沙の趣味は知ってたけど、有名人だったんだね」と美咲さんが素直に感心したようにうなずいている。
「べ、べつにそんなことないから」と先輩が真っ赤な顔がちぎれそうなほど首を振った。
「いいえ、ケンソンですよ。アスカレードさんを知らない人はモグリですね」
床まで伸びた緋色の重厚なドレスにレースの肩掛けを羽織って黒い毛皮の帽子をかぶったイタリア人女性だった。
ちょっとこの会場には暑そうだけど、汗一つかいていない。
「なんだ、アマンダ、ここにいたのか」と、大里選手が笑っている。
「ハアイ、オオサトさん。どうですか?」
どうやら、さっき空港で大里選手に付き添っていたマネージャーの女性らしい。
「ああ、これは素晴らしいですね」と横から社長が声を上げた。「まるで絵画の中から抜け出してきたかのようだ」
「展覧会では他のスタッフにも着せるように指示を出しておきました」とエマヌエラさんも満足そうにうなずいている。「アマンダはこういう……コスプレが趣味ということで、今夜は先にお披露目することにいたしました」
みなが衣装を褒めていると、アマンダさんが山中先輩に向かってまっすぐ歩み寄っていった。
「アスカレードさんですよね?」
アスカレード?
顔を隠そうとする先輩を先回りして、アマンダさんがガッチリと手をつかむ。
「アスカレードさんにこんなところでお会いできるなんて夢みたいですね。ビッグサイトで拝見したマリカラのジュリちゃんは最高でした」
マリカラ?
ジュリちゃん?
先輩の目が泳いでいる。
「アマンダは亜莉沙のこと知ってるの?」と美咲さんが驚いた表情でたずねた。
「ええ、モチロンですよ。私がずっと憧れていたトップ・レイヤーさんです」
レイヤーって……コスプレする人のこと?
先輩にそんな趣味があったんだ。
全然知らなかった。
「私がこの趣味にはまったのも、ネットでアスカレードさんの写真を見たからなんですよ」
アマンダさんにガッチリと手を握られて逃げられないと観念したのか、先輩は「ど、どうも」とぎこちなく頭を下げた。
「亜莉沙の趣味は知ってたけど、有名人だったんだね」と美咲さんが素直に感心したようにうなずいている。
「べ、べつにそんなことないから」と先輩が真っ赤な顔がちぎれそうなほど首を振った。
「いいえ、ケンソンですよ。アスカレードさんを知らない人はモグリですね」