バイバイ、ベリヒル 眠り姫を起こしに来た御曹司と駆け落ちしちゃいました
 そんな私の表情を見つめながら社長がたたみかけてくる。

「月曜日、会社が終わったら、またここで会おう。見せたいものがある」

「何ですか?」

「来れば分かるさ」

 その一言だけで説明をはぐらかすように、社長がエレベーターホールに向かって歩き出す。

「分かりました」

 私は社長の広い背中を追いかけた。

 エレベーターホールまで来て思い出した。

 そうだ、会社のロッカーに服を取りに行くんだったっけ。

「社長、私、会社に荷物を取りに行くので、ここで失礼します」

「そうか。じゃあ、また月曜日に」

「はい。今日はおいしいケーキをごちそうさまでした」

 一階への直通エレベーターが先に到着して社長が中に乗り込む。

「そうだな。今度は何にするか考えておくよ」

 閉まるドアの向こうの社長は最後まで私を見つめていた。

 月曜日か……。

 なんだか、デートの約束みたいじゃない?

 そんなわけないって分かってるけど、なんだか頬が緩んでしまう。

 今度はどんなおいしい物が待ってるのかな。

 月曜日が楽しみだ。

< 53 / 87 >

この作品をシェア

pagetop