俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

祐世side25

俺の話を黙って時より頷き聞いてくれていた美月だったが、過去の話から有知商事の後継者候補の話になると表情、いや顔色が目に見えて悪くなってきた。

俺の話も聞こえているかどうか。


「美月?顔色悪いけど大丈夫か?」


やっぱり返事も反応もない。
一人何か考えを暴走させているのだろう。

彼女の手を取ると冷たくなっている。
腕を引き抱き寄せた。

やっと意識がこっちに戻って来たのか『祐世?』と腕の中から顔を見上げた。


「美月、何か考え暴走してない?」

「えっ?」

「途中から俺の話、聞こえてなかっただろう。」


シュンと落ち込み顔をまた伏せてしまった。

かわいい・・、可愛すぎる。

これは絶対に別れを勝手に予想し、その後の自分が取るべき行動を考えこんでたな。
美月を閉じ込めている腕にグッと力を込めた。
そして腕の中で小さくなっている美月の耳元に顔を近づけ囁いた。


「俺、美月と別れる気ないから。」


ぱっと顔を上げ『でも、でも』とその言葉の先を言っていいのか戸惑っているようだ。


「うーん、美月は有知商事の後継者になった俺の横に自分がいていいのだろうかって思ってる?」


俺の顔を暫く見上げたままだった美月だが、ゆっくりと頷いた。
やっぱりか。


「もしかして家柄がつり合わないとか、政略結婚するだろうとか考えてた?」


今度は直ぐに頷いた。


「だから自分が離れないとって?せっかく入った会社も辞めるつもりだった?」

「・・・、うん。直ぐに辞めるのは迷惑がかかるから一年は最低でも残るつもりだったけど・・・。」


はあ、想像通りと言うかなんと言うか。


「うん、途中から話聞こえてないみたいだったし、顔色悪くなってたから、なんとなくわかったけど。・・・美月、今、美月が考えこんでた事全部忘れてね。俺は政略結婚もしないし、家柄とか言わすつもりもない。これからも美月を手放すつもりもないから。」


俺を見上げる瞳に涙をいっぱい貯めて『いいの?私が一緒にいても。』と。
いいに決まってる。
高三の時、街中で偶然美月に出会ってから俺には美月しか見えてない。


「これから先も、俺の隣にいるのは美月だけでいい。」





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