激おこ転生幼女のモフモフ無双!
「兄は先々代の騎士団長を務めていたんだが、その在任中に事件は起こった。この事件のことは、今も一般には明かされていないし、今後も明かされることはないだろう。だから兄の死因もまた、病死以外にはなり得ない」
 ここからフレディは、まるで当時の記憶をひとつひとつ思い起こすようにゆっくりと語り出した。
 私はキーンと研ぎ澄まされた状態で、フレディの一言一句に耳を傾けた。
「当時、移民である王妃様の立后に反発する勢力が、まだ王太子妃だった王妃様を誘拐したんだ。この王妃様拉致監禁事件で兄は救出作戦の陣頭指揮を取り、王妃様を庇って殉職した。極限に近い救出の最中『私を置いて逃げなさい』と命じる王妃様に、頑として譲らぬ兄が告げたのが先の台詞だった。今となってはそれが、兄の最期の言葉だ」
 ……習った近世の歴史に、そんな事実はなかった。
 なにより現在の常識では、王妃様の出自を理由にした排斥論などあり得ない。民草に寄り添って日夜公務に励まれる王妃様は、そのたゆまぬ努力によって広く国民に慕われているのだ。
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