ラグジュアリーシンデレラ
意気込んで言ったけれど、林人さんは小さくため息をつきながら、電話を置いた。

「おいで、結野。」

手招きされて、私は林人さんのデスクに行った。

「もっと、俺の側に来て。」

デスクを回って、林人さんの前に行くと、急に抱き寄せられた。


「ああ、落ち着くよ。結野を抱きしめると。」

「林人さん。」

顔を見合わせると、私達は亀山さんがいるというのに、唇を交わした。

「結野。申し訳ないけど、今日は経営についての話し合いなんだ。結野に手伝える事はない。」

「でも、例えば資料だとか……」

「それなら、詩歌……亀山君が、用意してくれるから。」


今、何て言った?

亀山さんの事、名前で呼んだ?


「結野には、俺の仕事が終わるまで、待ってて……」

「今、亀山さんの事、名前で呼びましたよね。」

林人さんの目が点になる。

「……そうだったかな。空耳じゃあないか?」
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