ラグジュアリーシンデレラ
しばらくして、林人さんの会社は、無事経営を戻した。

「結野が支えてくれたお陰だよ。」

林人さんは、相変わらず家にいる時は、私を抱き寄せてくれている。

「私は、何もしていないですよ。」

「そんな事はない。俺の側で、精神的に支えてくれていたじゃないか。」

林人さんは、人を褒めるスペシャリストだ。

私は、林人さんに褒められない日はない。


「ねえ、シンデレラの話をしていい?」

「おっ!今度はどんな内容?」

たまにシンデレラの話をするから、すっかり林人さんも、シンデレラの話に詳しくなった。

「シンデレラは、結婚した後、どうなったのかなと思ってたの。」

「王子様と結婚して、お城で幸せに暮らしましたで、物語は終わっているよね。」

「そうなの。でも、私思うんだ。シンデレラも、私みたいに好きな人の隣で暮らせて、とても幸せだったんじゃないかって。」

すると林人さんは、お腹を抱えて笑った。

「なんでそんなに、笑うの?」

「だって、今まではシンデレラのように、って言ってたのに。今は、シンデレラが私みたいにって、逆転してる。」

「あっ……」
< 176 / 177 >

この作品をシェア

pagetop