ラグジュアリーシンデレラ
ううん。時代錯誤な事は知っているけれど、井出さんに結婚したいと思われるくらい、大事にされたら。


「やだね。大丈夫だよ。社長、結野ちゃんには本気だよ。」

「そうでしょうか。」

「そうだよ。」

だとしたら嬉しい。


その時だった。

「結野ちゃん。」

「ほら、来た!」

斉藤さんは、私の背中を押した。

「頑張ってね、結野ちゃん。」

「斉藤さんっ!」

斉藤さんは、笑みを浮かべながら、次の会議室の掃除に行ってしまった。


「昨日は大丈夫だった?目が覚めたら隣にいなかったから、心配したよ。」

「ごめんなさい。」

「これからは、先に帰る時は一言言ってから、帰ってね。」

「はい。って、これから?」

目をパチパチさせると、井出さんはニコッと笑った。

「結野ちゃん。俺達のこれからの事なんだけど。」

「えっ……」
< 58 / 177 >

この作品をシェア

pagetop