密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

「雛子」
「ん? なぁに?」

 なにげなくこちらを向いた雛子の目の前で、ビロードの箱を開く。瞬間、大きく見開かれた雛子の目に映るのは、センターストーンに二カラットのダイヤが煌めく、華やかな指輪だ。

「玲士、これ……」
「見ての通り、エンゲージリングだ。本当は、これをクリスマスプレゼントにしようかとも考えたが、雛子の気持ちがきちんと定まってからにしようと思い直して、しまっていたんだ。……今なら、受け取ってくれるよな?」

 箱の中からスッと指輪を取り、雛子に問いかける。感極まったように瞳を潤ませた彼女は、震える声で「はい」と言った。

「ありがとう。手を出して」

 素直に従った彼女の左手を取り、薬指に指輪を滑らせる。

 ぴったり奥まで嵌ると雛子は幸せそうに微笑んで指輪を眺め、その姿にときめきを覚えた俺は、運転席から身を乗り出して、雛子の唇をキスで塞いだ。

 一週間と少し前のクリスマスイブにもキスを交わしたのに、まったく彼女が足りていない。それまで四年もの長い間触れていなかったのが、嘘のようだ。

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