密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
二度、三度とやわらかい唇を啄みながら、彼女が一度締めたシートベルトを外し、やわらかな頬を両手で包み込んだ。
「ん、玲士……」
甘い声で俺を呼んだ彼女は、自分からも唇を寄せ、遠慮がちなキスで俺の唇を食んでは、濡れた吐息をこぼす。
時折うっすらと彼女のまぶたが開き、そこから覗く瞳が官能的な色を浮かべているのを見ると、たまらなく欲情した。
「……送り狼になれないのがつらいな」
いったん唇を離し、ため息交じりにそう呟く。雛子は同意するように俺の肩に頭をもたれさせ、縋るようにギュッと服の胸もとを掴んだ。
その行動がいじらしくて、俺は彼女を強く抱きしめ返す。
「デートの終わりがこんなに寂しいものだって、久しぶりに思い出したよ」
「うん……私も」
「早く籍を入れて、一緒に暮らそう。雛子と片時も離れたくないのはもちろん、煌人の成長をこれ以上見逃したくない」
「玲士……そうだね。三人での新しい生活に向けて、動き出さなきゃ」
雛子は切なげな恋人の顔から、母親としての頼もしさが滲んだ笑顔に変わる。俺もつられたように微笑むと、ようやく車を動かし始めるのだった。