密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 雛子と煌人は、翌週の三連休最後の祝日に俺のマンションに引っ越してきた。

 彼女たちが今まで住んでいたアパートの規定では、本来一カ月前から退去予告をしなければならない。

 しかし、一カ月分の家賃と、修繕やクリーニングにかかる費用に少々色を付けて事前に俺が大家に渡していたので、雛子たちが引っ越しの挨拶に行くと、むしろ喜んで送り出してくれたそうだ。

 家具はほとんどが不要だったため処分し、ふたりが気に入っていた食器類を少々と、衣服や化粧品、煌人の大切なおもちゃや工作物、雛子の自転車が業者の手によってマンションに運び込まれた。

「わー! 広い! 保育園のホールみたい」

 忙しく荷ほどきの作業をする大人たちの脇で、煌人は大声を上げてリビングダイニングを駆けまわった。

「ダメだよ煌人! あんまりうるさくしたら隣の人や下の人に迷惑だからね!」

 雛子が即座に注意すると、煌人はハッとして足を止め、口を両手で覆う。

 ……なんて素直ないい子なんだ。

 感心するのと同時に、俺はつい甘やかしたくなって言う。

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