密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 あの日の真菜ちゃんは、ごく普通の迷子とは少し違っていた。

 泣いている真菜ちゃんから聞いた話なので半信半疑ではあるのだが……真菜ちゃんが言うには『パパと来たけど、パパは先に帰ってしまった』そうなのだ。

 そのパパがママに連絡し、迎えに来てもらえるのは決まっていたそうなのだが、真菜ちゃんはママが来る前に心細さから泣き出してしまった……ということらしい。

「ええ、本当に仕方のない父親なの……。あの人に真菜を会わせた私がいけなかった」

 深刻な顔でため息をついた聖子さんを見て、真菜ちゃんが悲しそうに俯く。

 煌人も大人の会話を待つのに少々退屈そうで、地面にしゃがんでアリを観察し始めてしまったので、私は取り繕うように笑って言った。

「とりあえず、お弁当にしましょっか! お話も、食事をしながらゆっくり聞かせてください」
「そうね。子どもたち、お腹空いてるでしょうし」

 気を取り直して歩きだした私たちは、緑の芝生の中に大型遊具がいくつもある広場に向かって歩いた。

 到着してみると、天気が良いせか、私たちの他にもレジャーシートを敷いて食事を楽しむ家族が何組もいる。

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