密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「さっきの話だけどね。元旦那とは去年の秋に別れたばかりで、少し情が残っていたのよね。子育てに無頓着で責任感もない男だってわかっていたのに、『真菜に会いたい』って言われて、それを許してしまったの」
楽しそうに滑り台を滑る真菜ちゃんを見つめながら、聖子さんが切なげに語る。
うちとは事情が違うとはいえ、別れた相手に子どもを会わせるかどうか迷う気持ちは、同じ母親としてすごく共感した。
「それで、お父さんと真菜ちゃんで遊園地に……。でも、どうしてお父さんは帰ってしまったんですか?」
「真菜がどうしても乗りたいアトラクションがあったんだけど、それに乗るには二十分くらい行列に並ばなければならなかったらしいの。元旦那はそれが嫌で、なんとか真菜をあきらめさせようとしたけど、真菜が強情で譲らなかった。たったそれだけの理由で、あの人は真菜を置き去りにしたそうよ」
「えっ?」
嘘でしょう? それだけの理由で、自分の子を置いて帰るって……。
あまりに信じられない話で絶句していると、聖子さんが疲れ切ったようにため息を吐く。