密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

「よかった、聖子さん。子どもたちはどこに――」

 呑気な私の問いかけにかぶせるようにして、彼女は鬼気迫る表情で言った。

「大変なの! 雛子さん! 真菜と煌人くんが、私の元旦那に車で……っ!」
「えっ?」

 聖子さんの、元旦那さん……? なぜその人が急に出てくるの?

 話が見えないながらも、聖子さんの普通でない様子を見ていたら、胸がざわざわと騒ぎだす。

「あの人、お正月の件で、〝真菜に父親のメンツを潰された〟と、腹を立てていたらしいの……。それで、ずっと真菜を取り返す機会を窺っていたって。自分でしつけ直すために」
「しつけ直すって……」

 思わずぞくりとした。真菜ちゃんを遊園地に置き去りにした前科のある人の言葉だと思うと、物騒な響きにも聞こえる。

「でも、なんで煌人も一緒に……?」
「真菜を守ろうとした私が突き飛ばされて地面に倒れたのを見て……煌人くん『真菜ちゃんは僕たちと帰るんだ』って言って、元旦那から真菜を守ろうとしてくれたの。でも、結局はふたりとも無理やり車に乗せられて……ごめんなさい」

 聖子さんが声を震わせ、涙ながらに頭を下げた。

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