密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

「ちょ……っ、おい! 勝手に人んちに――」

 男性が後ろで文句を言うのが聞こえたが、勝手なのはどっちだろうと思う。人の息子を連れ去っておいて……。

 悶々としながら奥へ進むと、先を歩いていた玲士が突き当りのドアを開ける。

「あっ、パパ! それにママも」
「煌人……!」

 リビングでらしきその部屋では、煌人と真菜ちゃんがたくさんのおもちゃやお菓子に囲まれていた。

 どうやら無事に見えるが、私はすぐに駆け寄って我が子のそばにしゃがむ。

「大丈夫? どこも痛くない?」
「うん、平気」

 煌人は意外にもケロッとしていて、心から安堵した私はその体をギュッと抱きしめた。

「真菜……!」

 遅れて部屋に入ってきた聖子さんも、私と同じように真菜ちゃんに駆け寄り、無事を確認して抱き着いた。

「……フン。少しは俺の気持ちがわかったか」

 不意に、部屋の入り口で男性の冷めた声がした。怪訝そうに振り向いた聖子さんに向かって、男性は憎々しげな表情で語りだす。

< 163 / 175 >

この作品をシェア

pagetop