密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

「やめないか! ふたりとも!」

 玲士が厳しい口調で聖子さんたちを叱責し、部屋がしんと静まり返った。玲士はふたりに歩み寄ると、聖子さんの元夫に向かって静かに語り掛ける。

「はじめから、親を嫌う子どもなどいません。真菜ちゃんだって、最初はあなたが大好きだったはずです。その信頼を奪うようなことをしたのは、あなた自身ではないのですか?」
「……っ。俺は別になにも……」

 聖子さんの元夫には心当たりがないようだが、玲士はさらに続ける。

「たまには会って父親らしいことがしたい――その、〝父親らしい〟ってなんです? おもちゃやお菓子を与えること? 遊園地に連れて行くこと? そんな浅はかな考えで父親を名乗らないでいただきたい。真菜ちゃんが今こうして元気でいられるのは、〝母親らしいことがしたい〟なんて意識せずに、衣食住の世話、それに心のケアまで毎日している彼女のおかげです。感謝されこそすれ、逆恨みされる筋合いなどない!」

 玲士は淡々と聖子さんの元夫の過ちを指摘したが、言葉尻が怒りで強くなった。

 同じ父親として、どうしても許せない思いがあるのかもしれない。

 聖子さんの元夫は悔しげに唇を噛んで握った拳を震わせたが、やがてがくっと膝から床に崩れ落ちた。

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