密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 そう言って、さも余裕のある男ぶって雛子を導きつつも、俺は必死だった。

 なにしろ、俺自身が初めてなのだ。ひとりの女性に、理屈では説明できないほどの激しい感情を抱くのは。

『玲士さんも、私が欲しいんですか……?』
『ああ、のどから手が出そうなほどにね。しかし、今日のところはちゃんと送っていくつもりだから、そんなに警戒しなくていい』
『よかった……。このまま食べられてしまうかと思いました』

 雛子がホッとしたような笑みで息をつき、俺も人知れず胸をなで下ろした。

 正直なところ、このまま雛子を自宅に連れ帰って抱き潰したい気持ちは山々だったが、自制して正解だったようだ。

 俺は気を取り直したように食事を再開する雛子を見つめ、今日はこうして話ができるだけでも幸福だろうと、自分に言い聞かせるのだった。

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