密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 そっと唇を合わせ、見つめ合い、微笑む。

 雛子と過ごすそんな時間は、俺にとってなによりの癒やしになっていった。

 スクールの授業は相変わらずハイレベルな内容で、学生たちの競争も熾烈。それに食らいつくために勉強は怠れないうえ、雛子とデートする時間まで増えたのだから、当然睡眠時間は短くなる。

 しかし不思議とつらくはなく、むしろ雛子と付き合う以前よりも、いろいろなことに対するモチベーションが増して、毎日が充実していた。
 

 そして、順調に交際を続けておよそ半年が経過し、冬を迎えた頃。日本にいる母親から、突然想定外の連絡があった。

『お父さんが脳梗塞で倒れたの……。命に別状はないけれど、麻痺が残るかもしれない。それで、玲士に早く帰ってきてほしいって。あなたに社長の椅子を譲るつもりよ』

 俺は困惑し、即座に返事ができなかった。

 MBAスクールのカリキュラムはまだ終わっていない。途中で投げ出せば、学位は手に入らない。それに、雛子のことだって……。

『お願いよ玲士。お父さん、体の方はともかく、気持ちの方すっかりが参っているの』

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