密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
私は悔しさにぎゅっと唇を噛んだ後、タブレットを玲士の方に返しながら呟いた。
「素敵ね。憎らしいくらい」
彼はその評価を聞いてとても満足げに微笑む。憎らしいと言っているのにどうしてそんな表情なのだろう。
「そう言ってもらえて安心したよ。きみはこの店の責任者になるんだから」
「……え?」
玲士はさっきから、なにをわけのわからないことを言うの?
私にサイフォンを扱う技術があるかどうかとか、この店に魅力を感じるかとか、責任者になるだとか。まったく理解不能だ。
呆然としていると、個室の戸が開いて料理が運ばれてきた。ワンプレートの中に、旬のネタを使ったお寿司と天ぷら、茶碗蒸しまでついた豪華なランチ。
だけど、話が理解できるまでは箸をつける気になんてなれない。
「今日は、誤解を解くと言っただろう? きみは自分のアイディアを俺に盗まれたと感じているかもしれないが、そうじゃない。俺は、雛子の実力が遺憾なく発揮できる理想の店を、きみと一緒に作っていきたいと思っていたんだ。再会できたことで、その計画をやっと具体的に動かす時がきた」