密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「雛子」
沈黙して悩んでいると、玲士が優しく私の名を呼んだ。
「今日のところは時間もないし、せっかくの料理が冷めるから食べよう。俺は、雛子の気持ちが定まるまでいくらでも待つから」
「……どんなに時間がかかっても?」
「ああ、大丈夫だ。四年以下ならな」
冗談めかしてそう言った玲士に、思わずふっと笑いがこぼれた。
たしかに、玲士なら待ってくれるだろう。四年という長い年月をすれ違っていたのに、執念とも呼べる想いで私を探し出し、抱いていた誤解まですっかり解いてくれたんだもの。
いたずらに待たせるつもりはないけれど、お言葉に甘えて慎重に考えさせてもらおう。
「ありがとう。ゆっくり考えてみる」
「ああ。しかし待っている間も、きみにあれこれアプローチはするつもりだから。くれぐれも覚悟しておいてくれ」
そう宣言した玲士の眼差しがやけに色っぽくて、どきりとした。
「えっ? う、うん……」
アプローチって、いったいどんなことをするつもり?
心の中でそう問いかけつつ自然と脳内に蘇るのは、今朝の待ち合わせでいきなり髪にキスされたシーン。
今後もああいうふうに接近してくるんだとしたら、どうしよう……。