密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「よ、よう」
間山はそう言って軽く手を上げ、心なしかぎこちない様子で歩み寄ってきた。そして、私が拭いていたテーブル席のソファに腰掛ける。
「ずいぶん暇そうだな」
「うん。今日はイブだから、みんなもっといいところにお出かけみたい。間山、なに飲む?」
「いや、飲み物はいい。今日は雛に話があって来た。そこ、座ってくれ」
「えっ? なによ改まって」
営業時間内ではあるが、他にお客さんもいないし相手は間山だし、と、私は気楽に彼の向かい側に腰掛けた。
そうして彼が話しだすのを待っていると、間山は神妙な面持ちで口を開く。
「こないだ一緒にいた男、お兄さんの友達というのは嘘だろう」
「えっ? なんで?」
まさか間山にあのときのことを突っ込まれるとは思わず、声が裏返った。
「なんでって、物書きの勘だ。で、誰なんだよ本当は。俺に言えないということは、後ろめたい関係なのか? アイツは既婚者で、不倫してるとか……」
「違うの! ……たしかに、あの時は嘘をついた。ゴメン。でも、間山が勘ぐるような変な関係じゃない」