MATSUのごくありふれた平凡な日々

「・・・そろそろ帰ろうかな。
 ばあちゃん、起きて待ってそうだし」

急に酔いと怒りが醒めて、松はジョッキを置いた。

「そうしてあげたら。
 私はもう1杯だけ飲んでくから、1000円置いてって」
「もうちょっとかかるよ」

松は伝票とメニューを見比べながら、暗算を始める。

「や、いらない。
 あんたが小銭置いてくと、精算した時に、もっと小銭増えるから。
 私がバレンシアガの財布、買ったばかりなの知ってるでしょ。
 小銭で型崩れなんてごめんだし」
「うーん、わかった。
 今度、ランチ驕るね」
「はいはい」

美紀は松を見もせず、手をひらひら振るのに、苦笑して店を出た。

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