急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
(あの時…池澤がもう少し、私の立場を考慮した告白をしてくれていれば…もしかしたら、ちゃんと好きになれていたのかもしれない…)
破談になって、ようやく池澤に気持ちが全くなかった事を自覚した亜里砂は、これまでも何度かそう考えたが…。
もし愛せていたとして…。
どのみち、あれほど派手に人前で告白し、愛を語っておきながら、婚約中に他の女…よりにもよって自分の後輩と関係し、妊娠までさせた男を、それまでと変わらない熱で愛せる訳がなかったかもしれない。
それに…。
披露宴で三吉涼香が暴露した、池澤が寝物語で涼香にしていたという『あいつとは父や兄を見返すために結婚をするのだ』という台詞から考えて、池澤も本当に自分のことを愛していたのか怪しい。
『好きだ』『愛してる』とは何度も何度も言われたが、若様に言われた時のようには、心が揺さぶられる事はなかった。
大也の本気は伝わってくるが、池澤の本気は亜里砂に全く伝わらなかったのだ。
今思うと、人前で何度も告白してきたのも、自分に酔っているように態とらしく見えていたかもしれない。
(いくら周りからも推されていたとはいえ…なんであんな男と結婚しようなんて思ったんだろう。自分が本当に情け無い!)
池澤なんて、たとえばったり会ったとしても、絶対に無視!と亜里砂はあらためて心に誓う。
(やだやだ!本当に会いたくないよう)
そこで亜里砂は、はたと気づく。
(もしかして…。会う度に『異常はないか』って、若様が訊いてくるのって…。
私を警備員と間違えている訳じゃなく、池澤とのことを心配してくれているのじゃないかしら…)