急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!

どうだ、偉いだろう…褒めてくれ…と言わんばかりの池澤に、亜里砂は空いた口が塞がらない。

「だけどアイツ…俺にそう言われて自殺しようとしたのはいいけど、未遂って…どんだけ中途半端なんだって話だ。本当に、あの女だけはありえない。
しかも死にかけて病院に運ばれたとこで親父に泣きついたから、俺が親父にまた殴られたんだ。『恥さらし。お前は本当にクズだな。結婚してしまったんだから、もうあの女で我慢しておけと、何度も言っただろう。あっちの女は解雇して会社から追い出してやったから、もう忘れろ』って!
亜里砂を勝手にクビにしたんだ!
どっちがクズなんだよ!って思うよな…」

酷いだろ?と池澤の声に涙が混じる。
(いや、どっちもクズでしょ…)

「だけど…もういいんだ。もう大丈夫だ。
二年頑張って、俺も、やっとあのつまらない嘘つき女と離婚できた。
親父や兄貴が、体裁が悪いと言うからこんなにかかってしまったが、ようやくこうして君を迎えに来ることが出来たんだ。
亜里砂…俺と、もう一度やり直そう。
あの女に捻じ曲げられた人生を、もう一度君とやり直したい。
そうすれば、俺たちきっと幸せになれる筈だ。
俺は亜里砂とじゃなきゃ、幸せになれない!
あれからも…俺はずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと変わらず、亜里砂のことを愛しているんだよ…」

長々と自分の言いたいことだけを言い、何の邪気もなく、いっそスッキリしたようにニッコリと笑う池澤を見て…亜里砂の体に走る震えは、今度こそどうにも止まらなかった。

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