急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
(早くこの部屋から出なければ…)
池澤は焦っていた。
目の前の男の話を聞いてしまったら…何か取り返しのつかないことになってしまいそうな気がしたからだ。
立ち上がろうとする池澤を、大也が制した。
「もう少し待ってくれ。俺たちだけで話すのも何だから、人を呼んだんだ。
俺とあんたがこの場でただ話すだけでは、彼女と二度と関わらないと、あんたに幾ら誓ってもらっても、ただの口約束だけでそれが守られる保証は全くないからな…」
「は⁉︎俺が亜里砂に二度と関わらないなんて、誓うはずがないだろう!ふざけるなッ!
彼女は二年前も今も…俺の、俺だけのものなんだ!」
「いや、あんたはきっと誓うさ。まあ…それでも飲んで、ゆっくり待っていてくれないか(出涸らしだけどな…)」
大也は池澤の言葉に少しだけ眉を顰めたが、すぐに何食わぬ顔でニッコリ笑い、池澤に出涸らしのコーヒーを勧めた。
暫くして…
コンコン
大也の執務室にノックの音が響き、山藤が扉を開けて三人の男性を部屋に招き入れる。
「お父さん…⁉︎どうしてここに⁉︎」
最初に入ってきた男性の顔を見て、池澤が慌てて立ち上がった。
「公平ッ!このっ!大馬鹿ものがっ!」
ガッ!
父と呼ばれた男が、弾丸のような勢いで走り寄り、呆然と立ち尽くす池澤の頬を、いきなり拳で殴りつけた。
池澤が殴られた頬を押さえて悲鳴のような声を上げた。口の端が切れ出血している。
「一護の若様に、お前如きがご迷惑をおかけするとは、何たることか!」
(やはりこの男!一護の…!)
池澤は、目の前が真っ暗になっていくのを感じ、一瞬フラついたが…それが殴られたせいなのか…あの男が、そうであって欲しくないと思っていた人物だったからなのかはわからなかった。