北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 フラットベンチをイスのとなりに引き寄せてから、突っ立っていた凛乃にうなずいてみせる。
 イスを引いて凛乃を座らせると同時に、つるにこをモニターに近づける。
「維盛凛乃さん。と、つるにこ」
「どーもー! 累の父ですー!」
 はりきった声に、腕のなかのつるにこがビクッと揺れた。
「維盛凛乃です。はじめまして」
「急にすみませんねえ。いや、うれしいなあお会いできて」
 カチコチの笑顔であいさつをかわす凛乃から目を離さずに、ななめうしろに腰を下ろす。
 と、つるにこが急に腕から抜け出し、デスクに飛び乗ってモニターを嗅ぎまわりはじめた。必然的に、凛乃と言造のあいだをうろつくことになる。
「おっ、おまえさんもごあいさつしてくれんの。かーわいいねー」
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