北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
凛乃の人となりを説明しようとすると、凛乃のどこが好きかを告白するのに等しいということに愕然とする。
固まった累の代わりに、凛乃が言造のほうに向きなおった。
「累さんには、前職を始めるときに困ってたところを助けていただいて」
「ほう、累が」
「それで家事のお手伝いをさせてもらうことになったんですけど、累さんはぜんぶ自分でできるかただったので、わたしはむしろお世話になってばかりで」
「いやいや、累はしっかりお世話になってるでしょう。ひととおりのことはできるみたいですけど、できるのとやるのは大違い。こっちにいるときなんかは、なんにもしないもんだから、どんどん痩せちゃって、マッチ棒の燃えカスみたいになっちゃって。わかる? 頭だけ黒い棒」
「うわ、たいへん」
固まった累の代わりに、凛乃が言造のほうに向きなおった。
「累さんには、前職を始めるときに困ってたところを助けていただいて」
「ほう、累が」
「それで家事のお手伝いをさせてもらうことになったんですけど、累さんはぜんぶ自分でできるかただったので、わたしはむしろお世話になってばかりで」
「いやいや、累はしっかりお世話になってるでしょう。ひととおりのことはできるみたいですけど、できるのとやるのは大違い。こっちにいるときなんかは、なんにもしないもんだから、どんどん痩せちゃって、マッチ棒の燃えカスみたいになっちゃって。わかる? 頭だけ黒い棒」
「うわ、たいへん」