北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 みるみるうちに凛乃の頬と耳を染めた真紅が、即座に累に伝染した。
「あっ、わかる、わかるよ。おれも、そういうところが累のいちばんの魅力だなと」
「やめ!」
 言造のダメ押しに顔を覆ってしまった凛乃をかばって、モニター前に身を乗り出す。
「照れるなよぉルイルイ」
「ルイルイ呼ぶな」
「えー、昔からそう呼んでんじゃん」
「もう切る」
「あ、待って待って。いまマロリー呼んでくるからっ」
 言造がどアップでモニター越しにすがる。
「アランもさっき来ていっしょに飯作ってるとこなのっ。切らないで、リンリン、累を止めてて、呼んでくるから。シェリ、マロリー!」
 言造が部屋を飛び出していく。
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