北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「だとしても、失礼すぎ。それを聞くんなら当然、わたしの年収も聞くし、自分らの年収も教えてくれるんだよね?」
「なんでよ」
 母親は鋭く訊き返し、父親は鼻白んだ。
「なんでって、ひとに立ち入った質問しといて、自分らは秘密っておかしいよね」
「お母さんたちはいいんだよ。そちらさんがあんたを養っていけるのかって心配しとんの」
「わたしは一方的に養ってもらうつもりはない。いまわたしは自分を養ってるし、累さんもずっと自分を養ってる。養ってる者同士だから」
「子供ができたら働けないでしょ」
「じゃあちなみに、わたしが学校行ってて養われてた頃のオトンとオカンの年収は? 無収入のわたしをいくらで養ってた?」
「言わんよそんなこと」
「わたしは年収を言わせたいわけじゃないの。尋問みたいにこっちばっかりプライバシー丸出しにしろっておかしいって言ってるの」
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