北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「両家の顔合わせは? 式は? うちら外国なんて怖くて行けんよ」
「それは」
 まだ話し合ってないことだ。
 累を見ると同時に累が答えた。
「父がこっちに来ます」
 きっぱりと言い切る姿に、きゅんと胸が鳴る。
「顔合わせはビデオ通話で失礼しますが、式は」
「でもお父さんおひとりじゃ、招待客のバランスが」
「いいじゃないか、こぢんまりやれば」
「うちだってオトンとオカンと姉ちゃん家族だけでいいよ」
「それにしたって」
「父のパートナーと連れ子をいっしょに呼んでもいいでしょうか。正式な手続きはしていませんが、家族同然なので」
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