北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
焦った様子で家から走り出てきたのは、スマートフォンを手にした母親だった。
「春日屋に外国のお客さんが来て、困っとるんだって。たぶん泊めてってことやろうけど、今夜はお振舞いがあるからダメなのに通じんくって。行ってあげてよ。英語、話せるんやろ」
一気に要求を突きつけられて、凛乃は呆れながらも累を背にかばうように前に出た。
「累さんはフランス語の翻訳家だから」
「似たようなもんでしょ」
「ちがうし」
また言い争う凛乃と母親の代わりに、姉が事情を説明する。
「春日屋って、オカンがパートしてる民宿ね。女将さんがオカンの同級生で友達だから、小野里さんのこと話したんやと思う」
噛みつく凛乃をいなして、母親が累に目を向ける。
「春日屋に外国のお客さんが来て、困っとるんだって。たぶん泊めてってことやろうけど、今夜はお振舞いがあるからダメなのに通じんくって。行ってあげてよ。英語、話せるんやろ」
一気に要求を突きつけられて、凛乃は呆れながらも累を背にかばうように前に出た。
「累さんはフランス語の翻訳家だから」
「似たようなもんでしょ」
「ちがうし」
また言い争う凛乃と母親の代わりに、姉が事情を説明する。
「春日屋って、オカンがパートしてる民宿ね。女将さんがオカンの同級生で友達だから、小野里さんのこと話したんやと思う」
噛みつく凛乃をいなして、母親が累に目を向ける。